六社宮の近くにお地蔵様と並んでちょっと変わった石塔があります。レリーフで描かれた像はだいぶ形が崩れていますが、腕が6本あり顔の表情は怒っているように見えます。そして、その下には三猿も描かれています。また、側面には寛政2年(1790年)と彫られているので、今から230年前に作られたもののようです。
この石塔は、庚申塔とよばれ、江戸時代からこの地域に庚申信仰が根付いていたことがわかります。彫られている像は、青面金剛(しょうめんこんごう)といい日本の民間信仰である庚申信仰の中で独自に発展した尊像で、庚申講の本尊として知られ、三尸虫(さんしちゅう)が体内から逃げ出さないよう押さえる神とされています。また、三猿が描かれているのは庚申信仰は猿との関係が深く、「見ざる、言わざる、聞かざる」の行為の大切さを伝えるためといわれています。
長沼に長くお住いで26代目、95歳の長老のお話で「庚申様は手が8本(二・四・六・八臂の場合もある)なので賢いんだといわれていた。昔は、この地域で講中(庚申講)を作って例えば、葬式があると旗を作ったり、墓穴を掘ったりして、お互いが助け合った。向こう三軒両隣で、ご主人の体が悪いと、助けに行ったものだ。最近は不幸を喜ぶ風潮がある。さみしい時代になった。」とお話しされていたのが印象的でした。
石塔の側面に寛政二庚戌四月とある